top of page
  • 執筆者の写真vicisono

『少年画報』電子版のイロイロと初期梶原一騎

更新日:2019年12月15日

以下は2016年にebookJapanで少年画報社フェアが行われた際にメモ代わりにツイッターに投稿した感想を再編集したものです。





1961年の『少年画報』の柱に

○○先生のご住所は、×××です。おたよりをさしあげましょう。

全員じゃないけど住所公開していた先生方もおられる。大らかな時代だなぁ。


『0戦太郎』のスタイル画、にがお絵を大募集しております。

今でいうファンアートのことは「スタイル画」と呼んでいたのだろうか?顔のみを描いたのが「にがお絵」、全身を描くと「スタイル画」かな?少女誌だと「スタイル画」はファッションイラストを指すのだが。


 


梶原一騎の実録スポーツ絵ものがたり



『少年画報 1953年11月号』 梶原一騎先生の懸賞小説デビュー作「勝利のかげに」掲載号



『少年画報 1954年1月号』 梶原一騎「白井の王座ゆるがず(白井義男vsテリー・アレン)」掲載号

『少年画報 1954年7月号』 梶原一騎「柔道日本一(第七回全日本柔道選手権大会のレポ)」掲載号

『少年画報 1954年8月号』  梶原一騎「空手鬼武勇伝(大山倍達の絵物語)」掲載号


『少年画報 1961年10月号』 梶原一騎 「高山一夫物語」掲載号 ※ジョー対カーロス戦のネタ元のひとつか 真樹日佐夫「勇猛隼戦闘隊」(三井のプラモとのタイアップ記事)も掲載

50年代は概ね西部劇・時代劇の時代。大相撲やボクシング、野球の記事も多し。

 

梶原一騎の空飛ぶ戦艦大和


60年代はじめは巻頭グラビア・広告ページが戦記ものと実在兵器プラモデルが席巻。というわけで梶原先生も戦艦大和が空を飛ぶ「新戦艦大和」を書いておられます。


『少年画報 1963年9月号』 梶原一騎・団鉄也「新戦艦大和」掲載号

真樹日佐夫のよみもの「世界のギャング」も掲載


『少年画報 1963年10月号』 梶原一騎・団鉄也「新戦艦大和」掲載号


『少年画報 1966年9月号』 桑田次郎「バットマン」怪盗ドロ人間の巻 掲載号

ところで少年画報電子復刻シリーズで59~60年あたりがゴッソリ抜けてるのはスーパーマンの版権関連?桑田バットマン掲載分は1号だけ復刻されてるけど。


 

メカSFとスパイもの時代


60年代半ばはウルトラマンとサンダーバードのヒットで怪獣ブーム。加えて映画007シリーズもヒットしていた。

この時期の少年画報をざっと眺めただけでも、梶原先生が「巨人の星」誕生秘話で当時の怪獣ブームについて苦々しく語っておられた理由が理解できる。さぞ居心地悪かったろうなぁ……



『少年画報 1967年12月号』 梶原一騎 ・永島慎二「挑戦者AAA」最終回 &「甲子園の土」新連載予告漫画3P 及び真樹日佐夫・佐藤まさあき「炎のファイター」掲載号

この号は付録と特集記事と懸賞が「サンダーバード」「キャプテンスカーレット」、他にも外車の大特集。広告がミドリ・日東・マルザンのSFメカプラモ。SFとスパイもの全盛。

そりゃ梶原先生もスパイアクションものの「挑戦者AAA」を書かされる訳だよ。まぁスパイアクションものと言いつつ、クライマックスではリング上で覆面レスラーと戦うような展開になるんですけどね!

でも梶原作品は凡作でも「友との別れ」をしっかり描いてくれる処がほんと好き。





『少年画報 1968年2月号』 梶原一騎 ・一峰大二「甲子園の土」&真樹日佐夫・佐藤まさあき「炎のファイター」掲載号


「挑戦者AAA」と入れ替わりに元祖魔球漫画「黒い秘密兵器」の一峰大二先生と組んだ「甲子園の土」。

マガジンでの「巨人の星」ヒットを受けて編集から依頼されたのは明白。作品全体の完成度としては本家ほど力を入れていない凡打ではありますが、この号掲載分のエピソードは、やり場のない妬みと怒りと暴力の中で這いずるように生きてきた主人公が、高みにある美しい存在に出会って打ちのめされ、自分を一回ブッ壊されて、でも懸命にその存在に近づこうという悲壮な決意と共に苦難に満ちた明日へと一歩踏み出す……という梶原ドラマ序盤の山場で、やっぱりグッときます。



 

キックの鬼と沢村誠ブーム


キックの鬼時代の少年画報は作家陣の顔ぶれは豪華だけど、やっぱり雑誌としての魅力はあんまりないんだよな。少年キングの広告の方が圧倒的に勢いがあって面白そう。当時の沢村人気の片鱗を知るにはいい資料だけど。 『少年画報 1969年2月号』高森朝雄・中城けんたろう「キックの鬼」巨弾まんが堂々新れんさい &梶原一騎・一峰大二「甲子園の土」掲載号 この号は「怪物くん」が席巻


『少年画報 1969年6月号』高森朝雄・中城けんたろう「キックの鬼」&梶原一騎・一峰大二「甲子園の土」掲載号


『少年画報 1969年9月号』高森朝雄・中城けんたろう「キックの鬼」&梶原一騎・一峰大二「甲子園の土」掲載号 この通巻第22巻9号が月刊誌としての最後の号で、週刊漫画誌に押されて次号から月二回刊に変更。 「キックの鬼」は巻頭カラー、グラビアやふろく、ハリスのキックガムの広告も(ハリスガムといえば梶原先生の「ハリス無段」がちばてつやの「ハリスの疾風」にタイアップをとってかわられたという因縁の商品)。



ところで、この記事の元ツイートをした時点では永井豪の「学園番外地」が表紙の1969年no.14号も販売されてたんだけど、しばらくしたら消えていた。版権処理に手落ちがあったんだろうか。 その号には新人時代の みね武 先生のウェスタンもの短編「悪人志願」が掲載されていて、これが大人のハードな世界と人情味とユーモアが同居した粋な作品で、作画レベルも高くて素敵だったんだけど、読めなくなってしまって残念。みね先生の単行本には未収録なのかしら?



 

その作品が生みだされた時代の空気というのは、後々単行本だけ読んでもわからないし、作家単体の作歴だけ研究してもわからない。

こういう付録や時事的なよみもの、広告をパッケージングした「雑誌」を読むことによって、同時代人ではない私のような人間にもどうにか雰囲気の端切れくらいは把握できるので、この少年画報社の電子復刻企画は本当にありがたい。権利処理は大変でしょうが、どうにか他の号も電子化して欲しいし、他の出版社もこの企画に続いてほしい。

あと、全掲載作品と記事を記載しろとまではいいませんが、購入の目安として「もくじ」ページを試読させてくださいよ!あとは我々のような有志がコメント欄でテキスト入力するから!!

閲覧数:152回0件のコメント

最新記事

すべて表示
bottom of page