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  • 執筆者の写真vicisono

"Long Gone Days"アーリーアクセス版 Chapters 2 & 3

更新日:2019年12月1日

チリ発のミリタリー2Dアドベンチャーゲーム『Long Gone Days ロング・ゴーン・デイズ (開発:BURA)』アーリーアクセス版のアップデートが本年7月に配信開始されたので、ネタバレし過ぎない程度に軽くレビューを。


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Chapter 1 カリーニングラード編 変更部分


アップデート版は新章追加だけでなく、チャプター1にもかなり細かい修正が加えられています。


NPCキャラのセリフ変更や、無駄に遠回りさせるだけのサイドクエストの削除と修正によって、世界観がよりわかりやすくなりました。戦闘の難易度調整もされている模様。


キャラグラフィックも変更されていて、特にリン(ヒロイン)の顔がかなり幼くなりました。私は修正前の方が好みだったんだけど、新章で明かされた過去話や他キャラとのバランスを考えると、修正意図は理解できます。



niconicoに序盤のプレイ動画を字幕付きで上げてみました。


遠距離スナイプモードとターン制戦闘モードのチュートリアルに相当するイントロ。



命中率・防御力やスキル行使に関わるMorale(士気)値を左右するキャラ会話とサイドクエストが含まれた出撃前イベント~本編導入部。


 

序盤あらすじ:

主人公はユージン・ワイズナー将軍支配下の軍政領域国家であるThe Coreで生まれ育った青年ローク。

幼い頃から優秀な兵士となるよう訓練され何の疑問も持たずに生きてきた彼は、負傷したエリート狙撃兵コイルの補充として特殊任務にまわされます。

その任務「オペレーション・プレゴリャ」とは、ポーランド軍の支援としてロシア連邦の飛び地であるカリーニングラード州に極秘潜入し、さる軍事施設を制圧する事。

スナイパーとして課せられた任務を果したロークですが、この特殊任務の裏に隠された真実に耐えられず、体調不良を装い一時的に作戦から外れようと試みるのですが、事態は思わぬ方向に転がって… … 。


 

無料配布されているデモ版のラストにあたる川流れのところまでUPろうと思ってたんだけど、字幕入れがメンドクサ過ぎるので、プレイ動画はここまで。


 

新章 キール編




カリーニングラードでの戦闘を終え、難民に紛れて船に乗った主人公たちが辿り着いたのは、バルト海に面したドイツの港町キール。



そこで彼らは現地メディアの協力を得るべく地方局の女性レポーターとの接触を図るのですが……という訳で、新章は女性キャラ増量。



Atiye Çalik
地元テレビ局のリポーター、アティエ・チャルク

自己紹介の際は「Calik」というつづりなのですが、後の方の場面ではセディーユ付きのCで「Çalik」になってます。意図的なのかミスなのか?

ともかく名前からしてトルコ系、瞳や肌色からすると混血で移民の3世くらいでしょうか。


Zoe Liebezeit
撮影技師のゾーエ・リーベツァイト

仕事仲間で親友の女性二人、作中で明確にはされていませんが、アティエの言動から恋人同士なのかな?というフシもあり。移民で女性で同性愛者だとすると、社会的プレッシャーがキツそう……。


丁度キールは選挙キャンペーンの真っ最中。移民排斥を主張して勢力を伸ばしつつある新政党 Neue Soziale Bewegung (NBS)の不穏な背後関係を探っていたゾーエが突然失踪し、行きがかり上、主人公たちもアティエに協力してゾーエの捜索に奔走することになります。


 

アドベンチャー要素強化



前章までは基本的にプレイヤーの選択による展開の変化はあまりなかったのですが、キール編では敵地への侵入経路は見張りをスナイプして強襲か、それとも密かに忍び込むルートを探すか?とか、サイドクエストをクリアしておくと一部の戦闘が回避される、といった具合にプレイヤーが介入できる要素が増えました。


アドベンチャー部分のボリュームも増えて、戦闘に入るまでが長いし、選択によっては一度も狙撃せずじまいという事も。



Horst Weber & Matthias Köhler
NBS党首ホルスト・ウィーバーと秘書マティアス・ケーラー


相変わらず可愛いドット絵キャラが細かい芝居をするんですが、展開されてる場面自体は相当エグいですぞ。



Loran Beqiri
キールの闇稼業を仕切る男、バルカン半島出身とおぼしきロラン ・ベキリ

パーティメンバーは固定制、強制入れ替えなので、自分なりに戦術を考えて人選するようなゲーム性はないけど、最終章ではどうなるか。



全般的に丁寧な作りのオーソドックスな2Dアドベンチャーなのですが……でもこれ、どっからどう見ても「ビジュアルノベル」じゃないよなぁ?と思って改めて公式サイトを見たら、初期は

2D modern-day character-driven JRPG that combines elements from visual novels and dystopian fiction.

という説明だったのが、

2D modern-day military RPG set in our current times, with a focus on language and cultural barriers, inspired by classic dystopian literature and visual novels.

に修正されてた!



旧サイトでも書きましたが、"Long Gone Days"のデモバージョンがリリースされた当時(2016年)は日本国外のビデオゲームファンダムでは"visual novel"という言葉の誤用がひどくて、立ち絵+テキストウィンドウで進める紙芝居タイプのアドベンチャーゲーム全般が「ビジュアルノベル」にカテゴライズされていて、それどころかアニメーション&フルボイスがウリの『School Days』までノベル呼ばわりされてたんですよ。あれから三年経って、多少は認識が改善されたのかな?



 

脱線:日本国外における"Vsual Novel"の定義問題


現状はどうなってんだろ、と思ってさっきen.wikipediaでVisual novelの項目(11 September 2019‎ version)をチェックしてみたら、

This distinction is normally lost outside Japan, where both NVLs and ADVs are commonly referred to as "visual novels" by international fans.

って、冒頭部分で実情に即した断り書きが入れてあるとはいえ、概要を見ると『逆転裁判(捜査パートは紙芝居スタイル、裁判パートは対話とアイテム提出によるフラグ立てにより固定エンドに向かうアドベンチャー)』や『ときめきメモリアル(自キャラのパラメータ調節により展開が変動し、プレイ毎にシナリオが自動生成される広義のシミュレーション。あんなに「数値」に細かく気を配ってプレイしなきゃならないゲームデザインなのにノベル呼ばわりかよ?!)』までビジュアルノベルあつかい、しまいにゃ『ポートピア連続殺人事件(コマンド選択式のオーソドックスなアドベンチャーゲーム。日本固有の特殊システムじゃないでしょ~?!)』まで!認識改善どころじゃねぇぇぇ!!!!


その一方で、日本のノベル型ゲームを論ずる上で絶対に欠かせない『弟切草』『かまいたちの夜』、『雫(しずく)』『痕(きずあと)』にはほとんど触れられていない。記事執筆者の独自研究がひどすぎる。


実際、ノートでは2006年時点で既に他のウィキペディアンから "VN. vs AVG"という議題で修正を提案されていて、以後も数回にわたって議論が繰り返されてるんだけど、元記事削除の上で全面的な書き直しが必要なレベルだから、みんな自分がやるのは躊躇してる。モンスターペディアン案件でしたか……。



海外では実質、"visual novels" は紙芝居型美少女ゲームどころか日本産アドベンチャービデオゲームの総称にされちゃってるみたいだけど、だったらJRPGにならってJAVGとでも呼称すれば混乱もないのに。"yaoi"とか"shoujo-ai"みたいに誤用が完全に定着しちゃったらヤだなぁ。


日本のビデオゲーム市場でいう「アクションゲーム」「ロールプレイングゲーム」「アドベンチャーゲーム」も本来の英語の定義とはズレてるし(元の意味よりも大幅に狭いジャンルを指す言葉になってる)、あんまり煩いことは言いたくないんですが、販売現場で混乱を招くようなジャンル呼称のズレは可能ならば是正したいところ。




※"Long Gone Days" はランダムエンカウント戦闘なし、戦闘によるキャラ成長要素なし、アドベンチャーシナリオの合間にイベント戦闘が入ってるだけ……というゲームデザインなので、日本人ゲーマーの感覚ではRPGと呼ぶのも少々ためらわれるのですが、「(自分自身ではない)役柄を演ずる」という英語本来のロールプレイングゲーム定義に合致しているのでこれについては問題はないと思う。ただし日本語版販売の際には説明文のジャンル表記に配慮が必要かと。

 

閑話休題。


……と、話が脱線しましたが、物語の全貌(&大まかな落としどころ)が何となく見えてきた "Long Gone Days" Chapters 2 & 3。完結編は一応2019年中の公開を予定しているとの事。フルリリース後には日本語対応パッチ制作も検討中とのことですので、Steamのセール対象になっている時にでも購入してみては。


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